ここんとこ特に

小説部門が榎田さん英田さん続きなのは自覚してるんですが、興奮冷めやらぬうちに下巻の感想書いておきたいので
もう少しお付き合い下さい…。

デコイ 迷鳥 (SHYノベルス)

デコイ 迷鳥 (SHYノベルス)

先月末発売の「囮鳥」の下巻が「迷鳥」です。
突っ込み所や引っかかる点とかが全くなかった訳ではないんですが、カップリング萌エはもちろん
物語世界そのものに引き込まれて一気に読んでしまいました。
頭いっぱいで何から書いたらいいのかわかんないので、以上!



…これだけじゃ、一応感想中心ブログとしてあんまりにもあんまりなので、所々読み返しまくって…。


以下、なるべく核心には触れないようにしますが若干ネタバレ気味。


冒頭の、那岐による14年前の回想に始まり、徐々に明らかになっていく火野との因縁や、2人が道を分かつまでの過酷な半生、
記憶を無くす以前の自分にとって最も憎い相手であったはずの火野から離れることのできない安見、
那岐を見守り続ける加賀谷…と、後半も内容みっしりで息つく間もありませんでした…。
前編同様、ほぼ安見と那岐の2人の視点で話が進むんですが、その両方にからみ、翻弄し続けるのが
人を殺すことを生業とし、命を奪うことも全く躊躇しない火野。
この作家さんの作品で、メインのカップリングを構成する1人が「酷いことやってるけど根はいい人」というオチをつけることもなく、
この上なく非情だけど同時にとても魅力的な存在として描かれているものは今回初めて読みました
(「エス」の五堂とか「DEADLOCK」のコルブスとか、脇ならあるんだけども)。
こういう登場人物にカップリングとしての萌えを感じることはあまりないんですけども、その観点抜きに
那岐との別れのシーン(そこだけ若干「李歐」思い出してしまった…)
終盤、安見への感情が示される場面は好きです。非道だけど。歪んでるけど。
一方でお相手の安見はと言うと、あまりにも救われないことに…。
「囮鳥」の感想で「円満なハッピーエンドは望めない気がする」とは書いたけど、ここまでとは思ってなかった…。
どっちかが死ぬ、とか、生ける屍状態になるとかその方がまだ良かったんじゃないかとすら思えるくらい
けど、あの幕切れは嫌いじゃないな。


もう1組、Bカップル(後書きにそうあったので)の方。
前巻での登場時から暴力&馴染みの女性との後朝シーン、後半では○○だったことが発覚して狼狽したり
幼い頃から叩き込まれた格闘術で敵に囲まれても攻の助けなしに自力で脱出、更に終盤では背負った罪のけじめのために××と、
あれ、私BL読んでたよな…?と首を傾げたくなるくらい漢な那岐と
那岐にベタ惚れのあまり、言われた当人にまで突っ込まれるくらいキザな台詞をさらっと連発の加賀谷には
存分に萌エさせていただきました!
えろす場面は予想通りの超誘い受で煽りまくりのくせして、妙に可愛いところも見せてたり。


そこで記憶が戻るってのは流石に出来過ぎというかベタというか…とか、佐藤(偽名)さんが悲し過ぎとか、
その佐藤さんもそれはあまりにも危険過ぎって言うか越権行為なんじゃないかとか、
あのけじめのつけ方はベストの選択だったのかしらとか、AとBのカップルの落差激し過ぎとか、
エピソード詰め込まれ過ぎでちょっと息切れしそう…とか、
色々突っ込み所や考えたところはあるんだけども、それを差し引いても尚、素直に「面白かったなぁ」と思える作品でした。


(簡易検索用)作者名:英田サキ