またまた初読み作家さん

美男の達人 (白泉社花丸文庫)

美男の達人 (白泉社花丸文庫)

評判の良い作品のようで書店でパラ見してたら台詞の内容と多さに圧倒され、気付いたらレジへ持ってってました。
「イケメン養成所」もしくは「モテない男性救済機関」として、外見磨きはもちろん、
テーブルマナー、料理、女性心理学と、あらゆる面からモテる男への道をサポートする「美男塾」。
全ページのおそらく半分以上はそこの講義内容です。
しかも講義シーンは1ページを上から下まで埋め尽くさんばかりの長台詞連発、例えば

「女性が好むジャニーズや韓流スターに肌の汚い男がいますか?造作に自信がないなら肌で勝負です。女はそうやって努力してきたんです。ドモホルンリンクルの無料お試しセットなんて七種類もあるんですよ?(中略)いいですか皆さん、『男だって十和子肌』というスローガンで今日からお手入れに励みましょう」

ここまで改行なしで5行…こんなん短い方です。
その内容も、上記引用の「十和子肌」とか他にも「16LLLDDKKくらいのマンション」とか、
何故敢えてその比喩?な珍妙な表現尽くしで、ギャグ場面じゃなくても吹き出すこと数知れず。
後書きによると「講義シーンに力入れすぎて」、脇キャラの××エピソードが入らなくなったそうで…
ものすごく本末転倒はなはだしい気がするのですが、そういう力の入れ方は決して嫌いじゃありません
カップリングは「彼女いない暦二十五年(=年齢)」の翻訳モノ少女小説好き郵便局員×美男塾講師(女性心理学担当の30歳)。
冒頭で郵便局員が講師に一目惚れして、それだけの理由で入塾した後もしばらくはほぼ講義が続き
講師と生徒以上のアプローチ開始は全体の半分くらい過ぎてから…というくらい、ラヴは後回しです。
どんなにすげなくされても全くめげない恋愛初心者年下攻と、
普段は礼儀正しく笑顔も素敵だけど、素は結構荒っぽい受の恋模様(というより攻が一方的に押しまくってたが…)
も悪くないですが、むしろ
「気の利かない彼氏(or旦那)、デリカシー皆無の男友達、もしくは職場のアレな野郎に叩き込んでやりたいぜ…」
と、身近な男性への鬱憤をつのらせるもよし(自分のことは棚上げするのが基本です)、
「いや、ソレは流石に詐欺師くさい」とか何とかツッコミ入れるもよしの姿勢で
塾講義を大いに楽しむつもりで読むのが良いかと。


(簡易検索用)作者名:小林典雅