そう来ましたか…!

はつ恋 (ビーボーイノベルズ)

はつ恋 (ビーボーイノベルズ)

裏表紙のあらすじを見る限りではどう考えても生徒×教師の学園モノ。
作家さんにしては珍しいなぁとページをめくってみたら、いきなり31歳の性格捻じ曲がってそうな弁護士の一人称。
この「久我山」って攻のことだよね、コレ学園モノじゃなかったっけ…?と読み進めていくと
旧友に呼ばれて高校時代の担任の先生の葬式に出席するハメになって…って、これは受の苗字だし??
と、冒頭から頭がクエスチョンマークだらけになったんですが。


うわー、そういうことだったのか…!


先入観ナシの方がより楽しめると思うので、読もうと考えている方はここから先ネタバレにつき注意。






どういうことかと言うと、高校時代の担任の葬式に訪れた31歳の弁護士が
交通事故に遭って心だけが14年前にタイムスリップ?して17歳の頃に戻ってしまい
精神が大人のまま、高校生活を送るハメになる、という展開になっているんですね…。
あのあらすじからは想像できるはずもなく、純粋に驚いた。
で、大人の視点で見直すと、当時うざったく思えた担任教師(当時24歳)が、不器用で熱くなりすぎることはあるけれど
生徒達のことをとても大事に思っていることに気づき、14年後の未来に自ら命を絶ってしまう相手に徐々に惹かれていってしまう、と。
主人公の家庭問題とか、受が同性の恋人の横暴に悩んでるとか、その辺りは割といつものパターンですが
17歳と31歳でのものの見方の違いとか、14年前と現在との違いとか、その辺のギャップの描写が面白かったこともあり
一気に読んでしまいました。
確かに今当たり前のように使っている「キモい」とか「引く」なんて
高校生くらいの頃はなかった言葉だよなぁ…たった10年ちょっとの違いなのに。


あまり好きではない現役生徒と現役教師のカップリング(教師×生徒よりはまだ受け入れられるけども)かと思いきや
まさかのSF展開で、良い意味で裏切られました。
先生が、子どもなのにときどき大人びた言動をする謎めいた生徒に惹かれていながらも
生徒でいるうちは気持ちを受け入れることをしなかったのも(相当流されてはいたけどね…)好印象。


(簡易検索用)作者名:榎田尤利