来月最新刊が出るらしいですが

今頃シリーズ第一話感想です(いつものことですね…)。

沖さんの挿絵、多分デルフィニア戦記読んで以来だから懐かしい…!コバルト文庫中毒時代、好きな絵師さんの1人でした♪
初出が10年以上前だから絵柄の古さは否めないんだけど、やっぱり格好いい&色っぽいなぁ。
遠い宇宙空間に向かう宇宙船が舞台のSFです。より正確にはスペースオペラになるのかな?
メインは乗組員で元傭兵の武官(戦闘要員ではなく、ハード部門のメンテナンス等の担当)、三四郎
そのバディの文官(ソフト部門担当)カイ。
バディというのは、コンピュータによって選ばれた「精神・肉体共に相性最高」のパートナーのこと。
この他に、同じく乗組員で強気でグラマラスな美女の武官・サンドラ(オンリーワンよりナンバーワン、言ってみたい…笑)と
そのバディで大柄な身体に似合わず温厚な性格の文官・ロード(何とか理性で抑えてるもののカイの色香に惑わされまくり)、
1作目の登場人物はこの4人プラスあと1人で全て、最初から最後まで宇宙船の中でストーリーが進行します。
視点のメインは三四郎とカイなんですが、極端に言うとカイ視点だと思ってたら次の行で三四郎のものに変わってて
更に次ページではロード…という風に、同じ章の中であっても視点の主が何回も変化する話は
このジャンルではこの作家さんのものくらいしか読んだことがないかも。
物語自体、登場人物の相手に対する印象・感情の描写はふんだんにあっても(こちらについては後述します…)
メイン2人の関係が恋愛というレベルにまで発展せず、
また、世界観の説明や、宇宙船という特殊な環境で起きる事件とその顛末もしっかりと描かれているため
少し前のCN-Fantasiaあたりの女性向け寄りラノベと言われても納得してしまいそうな作品でした。
いわゆる「BL的」な要素もなくはないんですけど。
ただ、カイと三四郎のやりとりや、外見・性格を説明するエピソードが多過ぎ…
三四郎が破天荒で型に囚われなくて、サラサラの黒髪かき上げるのがクセでウィンクが様になってるのも、
カイが超クール超絶ビューティーでマニュアル重視の割に思い切り良過ぎなところがあって、
不透過のバイザー越しであっても三四郎が自分とぴったり目を合わせてくるのに戸惑うのももうわかったから〜…!
ってくらい互いへの感情、及びロード&サンドラが2人に抱くイメージが似たような言葉で度々出てくるため
少々ダレてしまった感がありました。
まぁ、しつこいくらいの性格説明と共に、互いを認め合うまでの心の動きがゆっくり丁寧に描かれていたから
「第一印象、最悪」から、下巻ラストで2人の落ち着いた「友情とも恋愛ともつかないけど、強く惹かれて仕方ない」関係に
違和感を覚えることがなかったのかも知れないです。
この2人は何となく相思相愛ラブラブよりも、今の関係のまま仲良くケンカしてて欲しい気がしますが
今出てる最新刊の作品紹介見る限り、恋愛方面に落ち着いてしまうのかしら。
それにしてもコンピュータ暴走のオチははた迷惑極まりないつーか、そんな危険なモノを宇宙船に搭載しちゃうあたり、
その科学者相当精神的にヤバかったんじゃなかろうか…それにまつわるエピソード自体は大いに気になるところだけど。


(簡易検索用)作者名:久能千明