1年ぶりくらいの新刊でしょうか

嘘と誤解は恋のせい (白泉社花丸文庫)

嘘と誤解は恋のせい (白泉社花丸文庫)

カップリングはイケメンサラリーマン×アパートの隣に住む大学生。
隣人のサラリーマンに密かに想いを寄せる、恋に臆病な大学生が、アンケート
(大学の授業で使うという名目だが本当は仲の良い先輩が作ったもの)をきっかけに
お近づきになろうと画策する、というのが表題作。
そのアンケートの内容というのが


「もし一日だけその人になれるとしたら、誰になりたいですか?
 a.福山○治 b.イ○ロー c.児○清 d.黒柳○子 e.ウィ○ア○王子」
「もし映画のワンシーンのようなシチュエーションを実際に体験するとしたらどちらを選びますか?
 a.高級レストランで『あなたって最低』とバシャっと顔にワインを浴びせられる
 b.朝目覚めると、隣にいるはずの姿がなく、洗面所の鏡に『あなたって最低』とルージュのメッセージのみが残されている」


等々、「教授の趣味」と説明されたら、お前担当教授はもっと選べ…と言いたくなるようなものばっかりで。
「何だソレ?」となりながらも律儀に答える攻も攻だよな…。
んで、一緒にドラマ見たり、お食事したりしているうちに何となく受を意識するようになってしまい…
と、その辺はお決まりのパターンではあるんですが、受攻両方の視点の地の文がいちいちおかしくて
通勤電車内で何度も吹きそうになった…。
ただ後半、一応くっついたものの受の臆病さが災いしてなかなか進展しない2人が無人島に行く話は
ちょっと拍子抜け。
受はモジモジ過ぎだし、一人称「僕」だし、容姿もカワイイ系の典型的な「性別=受」とは言え
攻が口つけたタンブラーを大切に布でくるんで「僕の宝物」って言っちゃったりする辺り、軽く変態入ってたりはするんだけど、
攻もめでたく両思いになってからは、下心だらけの内心の描写が「若干変質者じみてるぞー…」って感じなんだけど、
それでも、前作や文庫デビュー作の作風からすると普通寄り過ぎて肩透かしだったことは否めず。
今回は「普通にBLを読んだ気分になっていただく」というコンセプトで書かれたらしいですが、
個人的には「普通」でなくても全然OKなのになぁ…と思ってしまった。
て言うか後書きにあった「本文には欠片も出てこない裏設定」の3人組のそれは…とても、気になります…。


(簡易検索用)作者名:小林典雅